メモ:選択公理抜きで線型写像をどれだけ自在に選べるか
以下の会話(抜粋)に関連してメモ。
冒頭に挙げられた命題(これを(*)で表す)から、最後に挙げられた命題、より正確には
を選択公理抜き(ZF公理系)で導けることを示す。このことと上で引用した内容から、冒頭の命題(*)はZF公理系では証明できないことがわかる(選択公理を使える場合には、を含むの基底が取れることから件の性質が証明できる)。
まず、命題(*)を
という形に拡張できることを確かめておく。
実際、(*)を用いて直和上でをに写す線型写像が得られるので、あとはその定義域をに制限した上で、行き先側で射影と合成すればよい。
さて本題に戻ると、まず、(***)を用いてを満たす線型写像が得られる。
次に、で生成される部分空間でを割った商空間をと書き、射影をと書くと、再び(***)を用いて、をへ写す線型写像が得られる(とが一次独立であることからであることに注意)。これとを合成したものをと書くと、であり、一方なのでである。
これらから、はおよびを満たす。これが(**)で求められている線型写像である。(証明終)