2月26日放送 NHKテレビ「プロフェッショナル 仕事の流儀」アンコール版

2006年7月13日放送分の再放送をやっていたので妻と一緒に見ました。今回のプロは棋士羽生善治

  • 全体的に興味深く見ていましたが、個人的に一番の盛り上がりどころはやはり何と言っても「詰パラNHK」です。番組内の「プロフェッショナルの道具」というコーナーで羽生王座・王将*1の対局日の持ち物を紹介していたのですが、扇子に続いて鞄から詰パラ(正式名称:月刊詰将棋パラダイス)登場!NHKの電波に乗せて全国のお茶の間に「詰将棋パラダイス」の文字が!(証拠画像
    • これは良い宣伝になっただろうなぁと思う反面、「羽生さんが読んでるくらいだし、自分も試しにやってみるか」→「こんなん難し/マニアック過ぎてやってられるかー」というコンボが炸裂する予感も。いや、最近の詰パラは読んでいないのでライト層向けのコーナーがどの程度あるのか全く知らずに書いていますが。
      • 詰パラに「ライト層向けコーナー」なんてありませんよ・・・ファンタジーやメルヘンじゃあないんですから。
    • なお、表紙詰将棋に加え、中に掲載されている作品も四作ほど映ったのですが、知り合いの作家の名前が出なかったのでちょっと残念。名前は存じ上げている方ばかりでしたが。
      • どうせなら小湊奈美子氏の名前でも映れば、色々な意味で誤解を生じさせて面白かったのに。
  • もう少し一般向けな点では、羽生王座が将棋に対する自身の姿勢を語った言葉の一つで、正確な表現は失念しましたが「変化することを恐れない」といった内容の言葉。これ自体は「攻めの姿勢を大事にする」といった意味合いで、まぁ羽生王座でなくとも数々の「成功者」が何度も言っていそうな言葉なわけですが、私が注目したのはその直後に続けた「まぁ、とはいっても実際には局面に応じて手堅い手を選ぶこともよくありますが」という羽生王座の発言です。そう、たった一度の博打に勝つだけでよいなら攻めるだけでもよいかもしれませんが、長期間に亘って勝ちを積み重ねるためには、攻めるべきときに攻め守るべきときには守るという高度な平衡感覚が必要になるはずです。羽生王座が近年、そのような平衡感覚にも通じるであろう「大局観」を重視しているという点には番組でも触れられていましたが、「変化することを恐れない」などという重要だけれども破壊主義的な誤解を生じる恐れもある言葉の後に、それはあくまで必要なときに攻めに転じるための心構えであって、常に攻めていればいいってわけじゃないんだよ、と差し水のような言葉を添えた羽生王座の姿に、棋士としてだけでなく人生の競技者としての優れた平衡感覚を感じ取りました。
  • なお、次回のプロは「イビツァ・オシム*2を呼んだ男」祖母井秀隆GM。この手の番組で二回続けて私の知っている方が取り上げられることは珍しいのですが、果たして次回は見る時間があるかどうか・・・。

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*1:2008年2月27日現在

*2:妻曰く「『イビチャ』という表記は好きじゃない。『イビツァ』の方が格好良いのに」。私も諸手を挙げて賛同します。