ジェフリー・バトル with 石ころ帽子、ならびにザヤックルールについてのまとめ 〜フィギュアスケート世界選手権〜

男子フリーの録画を見ましたが、トリノ五輪銅メダルという実績&ショートプログラム首位という優位性がありながら、それでもなお自分の演技前に他の選手に「勝利を確信」されてしまうジェフリー・バトル選手って一体・・・と思いましたが、その後の演技はワールド優勝に相応しい質と完成度だったので良かったなぁと思います。
で、先程採点表を見ましたが、思ったよりジャンプで加点されてなかったんですね。そのかわりに4回のスピンが全てレベル4判定でした。一方準優勝のジュベール選手のスピンはレベル3一つとレベル2三つで、そこが今回の点差に繋がったのでしょうか。
ジャンプも大事だけれどもジャンプだけでも勝てない、そんなフィギュアスケートの奥深さを改めて実感しました。


ところで高橋選手は今回もいわゆるザヤックルールに引っかかってジャンプを一つ無駄にしてしまったわけですが、何がまずかったのかよくわからなかったので、良い機会と思いISUの資料(pdfファイル)に当たってみました。以下、Singles--JumpsのFree skatingの項目より引用(邦訳はid:MarriageTheoremによる):

Of all the triple and quadruple jumps only two (2) can be repeated and these repetitions must be in either a jump combination or in a jump sequence.

訳:全ての3回転および4回転ジャンプは、二回だけ繰り返されることができ、その繰り返しはジャンプコンビネーションまたはジャンプシークエンスとして行われなければならない。
(←例えば今回の高橋選手のフリー演技の場合、4Tと3Aの二つ目はどちらも単独ジャンプではなく、コンビネーションかジャンプシークエンスにする必要があった、ということのようです。)

A Double Axel can not be included more than three times in total in a Single's Free Program (as a Solo Jump or a part of Combination/Sequence).

訳:シングルのフリープログラムにおいて、2回転アクセルは(単独ジャンプであろうとコンビネーションやシークエンスの一部としてであろうと)合計で三つまでしか含まれてはならない。
(←今回には関係の無い部分ですが、他の2回転ジャンプと異なりダブルアクセルには回数制限が掛かってるんですね。基礎点が高めだからでしょうか。)

Triple and quadruple jumps with the same name will be considered as two different jumps.

訳:同じ名前の3回転ジャンプと4回転ジャンプは異なる種類のジャンプとみなされる。
(←例えば、同じトーループでも3Tと4Tは別物だから、3Tと4T一つずつなら単独ジャンプとして入れられるよ、ということですね。)

A repeated triple or quadruple solo jump, not included into a jump combination or jump sequence, will be considered as a part of a not successfully executed jump sequence and counted as a jump sequence with only one jump executed. If three (3) jump combinations or jump sequences (in total) have already been executed, the repeated solo jump will be treated as an additional element and therefore not considered

訳:繰り返された3回転または4回転の単独ジャンプ -- ジャンプコンビネーションやジャンプシークエンスに含まれていないもの -- は、成功しなかったジャンプシークエンスの一部として考慮され、一つのジャンプだけからなるジャンプシークエンスとして数えられる。もし既にジャンプコンビネーションとジャンプシークエンスが合計で三つ行われていたならば、この繰り返された単独ジャンプは追加要素として扱われて(得点には)考慮されない
(←今回の例でいうと、前述の4Tと3Aが(後続のジャンプを跳ばなかったにも関わらず)判定上はジャンプシークエンスとして扱われ、その後の3F+3Tが三つ目のコンビネーション/シークエンス、最後の3Lz+2Tが制限オーバーの四つ目のコンビネーション/シークエンスと判定され、点数に反映されなかった、ということのようです。)

and it will blocks a jumping box if still available.

訳:さらにこれ(この繰り返された単独ジャンプ)は「jumping box」を一つ、もしそれがまだある場合には、塞ぐことになる。
(←「jumping box」の意味がよくわかりませんでしたが、点数に反映されなくても、ジャンプの回数制限においてはジャンプ「1回」として考慮対象になる、という意味でしょうか。)

No triple or quadruple jump can be attempted more than twice.

訳:どの(種類の)3回転または4回転ジャンプも、2回までしか試みられない。


今回の高橋選手の場合、結果的には最後の3Lzに2Tを追加せず単独ジャンプのままにしておけばウィアー選手を上回って三位だったわけですね。うーん、勿体無い。