ちょっと面白いな、と思った補題 続編
先日の補題の話に対して、id:shota_pubさんから
持っている本の2冊がCauchyの判定法の証明のところで証明して使ってました
というブックマークコメントをいただきました。
なるほど、Cauchyの判定法はこの補題を経由しても証明できるんですね。言われてみれば確かにそうですが、気がつきませんでした*1。ありがとうございます。
で、ひょっとして、と思ってちょっと考えてみたところ、件の補題、つまり
有界な実数列について、任意の収束部分列が共通の値に収束しているならば、もとの数列自体も収束する
という性質は実数体の特徴付けの一つになってるんですね。
ちゃんと述べると、順序体*2が上の性質を満たしていればそれは実数体(と同型)である、ということが言えます。
証明としては、別のもっと有名な特徴付けである「上に有界な広義単調数列は収束する」を上の性質から導くことで示せます。最初は「Cauchy列の収束性+アルキメデス性*3」を導く方針で考えていたのですが、アルキメデス性の簡潔な証明が思いつかずに方針転換しました。簡単な証明をご存知の方、ご教示下さいますと幸いです。
こうして色々考えてみると、この補題、結構使い勝手の良い性質に思えてきました。ちゃんと憶えておこうっと。