「係数の自由度と同じ個数のデータがあれば多項式が一意に決まる」とは限らない話

あるシンポジウムのある発表である方が、「$(x^2-a_1^2) \cdots (x^2-a_n^2)(x - b_1) \cdots (x - b_m)$の形をした($x$の)多項式は勝手に選んだn+m点での値によって一意に定まる」という趣旨の発言を(さらっと)されていたのですが、一般にはそういうことは言えません(発表者ご本人には指摘済み)。
例えば、$f(x) = (x^2 - 3^2)(x-4)$$g(x) = (x^2 - 5^2)(x-2)$とするとこれらは異なる多項式ですが、

  • $f(1) = (-8) \cdot (-3) = 24$
  • $g(1) = (-24) \cdot (-1) = 24$
  • $f(7) = 40 \cdot 3 = 120$
  • $g(7) = 24 \cdot 5 = 120$

となり、$x = 1,\, 7$という2点での値は互いに等しくなります。


わりと勘違いしやすいネタだと思いますし、そのセッションの残りの発表全てと引き換えに構成*1した反例ですので、MOTTAINAI精神を発揮してここでご参考までに紹介しておきます。

*1:元々の問題の設定上「$a_i,\, b_j$たちは正整数」という条件が暗に仮定されていたようだったので、それに合致する例を作るのが大変でした