ただの数学馬鹿が東大理Iに受かった(10年以上前の)勉強法

発端

先日の記事「「東大理1に1年で受かった勉強法」に前向きなフォローを入れてみる - Marriage Theorem 新居」に対する「しょ」さんのコメント:

個人的には、いわゆる「変態」さんの受験勉強の方が興味があります。
試験に受かるための、テクニック的な勉強ってなさってたんでしょうか?

http://d.hatena.ne.jp/MarriageTheorem/20090318/1237342639#c1237387485

を読んで、まぁ少なくとも一人分の需要はあるみたいなのでひとつ書いてみるか、と思い立ったわけです。
(なお、「変態」の由来は先日の記事の元ネタであるところの「http://d.hatena.ne.jp/lonlon2007/20090317/1237298299」の一節をご覧下さい。私はその中では「むしろ数学が母国語」に分類されるものと思われます。)

免責事項

内容を真に受けないで下さい。貴方が私と同種の変態でない限り、普通に勉強した方がよっぽど良い結果が出ると思います。
あと、もう10年以上前の話を蒸し返しているので、多分大学受験の状況など色々と様変わりしていることでしょう。

前提

  • 私、id:MarriageTheoremは(特に当時は現在にも増して)ただの数学馬鹿
  • 私は後期日程合格者(前期日程も受けたけど落ちました)

受験勉強開始時期

私は奇遇にもid:lonlon2007さんと同じ高校の出身なので、彼と同じ理由(詳細は上記の元ネタ記事をご覧下さい)により高校3年の6月頃から受験モードに入りました。

基本戦略立案、もしくは「己の身の程を知る」

色々あって(面倒なので省略)東大理科一類を目指すことにした当時のid:MarriageTheorem。とりあえずみんなと同様に前期日程の試験内容について調べたのですが・・・


二次試験が英国数理の4科目もあって、センター試験ではさらに社会科が必須なんて、無理。ゼッタイ無理


なんせ、数学(と理系科目)以外の科目に関しては現国も古文も漢文も英文和訳も和文英訳もリスニングも英作文も日本史も世界史も地理も駄目、というパパから貰ったクラリネットも裸足で逃げ出す壊れっぷりでしたからねぇ・・・


こりゃ無理だ、と早々にあきらめて(一応、スポンサーへの配慮として前期日程向けの勉強もしている振りだけはしていましたが、内心は早々と白旗)、前期日程とは逆に配点全体の8割が得意科目という願っても無いレギュレーション(数学もしくは理科から1科目選択(配点:300点)、英語(100点)、あと名称は忘れましたが数学と物理の合作みたいな科目(100点))の後期日程に希望を託すことに。
まぁ、初めから後期日程を狙うような変態は皆同様に「願っても無い」と考えていたんでしょうけど。
しかしこれにも問題があって、センター試験での足切り閾値が滅茶苦茶高いんですよ。理科一類後期日程だと例年、英語(200点)数学(二科目、200点)理科(一科目、100点)の500点満点中、少なくとも450点台後半は取らないとそもそも「8割が得意科目」の段階に進めないという。
つまり、数学と理科で満点を取ったとしても、英語で200点中50点弱しか失点できないというわけで、これまたかなり高いハードルです。
とはいえ、クラリネットで言えばこちらはまだドとレとミの音ぐらいしか壊れていない状態なので、前期日程に比べればまだチャンスがある(0%より低くはなりませんからね!)というわけで、後期日程を目指すことに決めました。


なお、賢明なる読者の皆様はお気づきかもしれませんが、先日の記事で偉そうに「センターの社会科では政経選択がお薦め」などと書いておきながら、私の受験には社会科は全く関係なかったんですよね。
でも、実際にセンター試験本番で60点〜70点ぐらいは取れた記憶があるので、やっぱり社会科が苦手な理I志望者には政経選択がお薦めです。

センター試験対策(主に英語)、もしくは「信じる者は救われる」

センター試験のために英語勉強しないとー。でも英語嫌いー。めんどくさいー。」とうだうだやっているうちに夏休みが終わり2学期になりました。
いくら何でもそろそろ勉強を始めないと時間が足りません。というか既に足りてません。


さて、当時のid:MarriageTheoremZ会Loverでして、高校の数学の授業そっちのけでZ会の数学の問題を解いていた真面目なんだか不真面目なんだかよくわからない生徒だったんですが、そんなZ会が出していた「速読英単語(上巻)」という参考書のキャッチコピーが「センターまでならこれ1冊」というものでした。

速読英単語1 必修編 改訂第4版

速読英単語1 必修編 改訂第4版


本当にこれ1冊で何とかなるんだな?信じるぞ、Z会どうせ1冊ぐらいしかこなす時間無いことだし。


というわけで、2学期の間は殆どの時間、この参考書と共に過ごしていました。
具体的には何をしていたかというと、この参考書は短めの英文とその和訳(と解説)のセットがいっぱい、という構成になっていたので、「英文とその和訳を交互に読む。文法がどうこうとか考えずにひたすら読む。」という作業を何度も何度も繰り返していました。
確か当時のセンター試験の英語は英文読解ができれば何とかなるような内容だったと思うので(リスニングはまだ無かった)、
「問題文の英語を見る」→「参考書の記憶を辿って、同じ単語/似た文型を含んだ例文を思い出す」→「和訳の対応する部分を思い出す」→「和訳から問題の単語/文型の意味を推測」
で何とか乗り切ろうという作戦です。
今考えると無謀な作戦なんですが、実際にこれで当日に英語で170点〜180点ぐらい取れちゃったんだから不思議なものです。「自分にはこれしかない」と覚悟を決めて参考書を暗誦する勢いで(実際には無理なんですが、それぐらいの勢いで)取り組んだのが奇跡的に功を奏したのでしょうか。
本番直前のセンター模擬試験で120点ぐらいしか取れなかったときにはどうしようかと思いましたが・・・


あ、ちなみに英語だけじゃなく数学や理科の勉強もそれなりにしてました。
数学に関しては、自分は問題を解くのは好きでしたが早く解くのは苦手だったので、とにかく問題を解きまくってスピードを上げる訓練。
理科に関しては、本命物理、押え化学でやはり問題を解きまくっての実戦訓練。なお、物理を本命にしたのは、英語のことを考えて満点を取らなければならないという制約の下では、比較的数学っぽい物理に比べ、「化合物の色」など理屈抜きで憶えなければならない要素の多い化学は危険性が高いためです。(実際、物理は満点でしたが化学は何問か間違えた覚えがあります。)

二次試験対策、もしくは安眠のためのイメージング

というわけで何とかセンター試験を乗り切り、いよいよ二次試験対策です。スポンサー(略)で前期日程が終わるまでは前期日程の勉強モドキをしてましたが、前期日程の試験から帰った後はひたすら後期日程の対策です。
と言っても、やることは過去問を解きまくるだけなのであまり特別なことはありませんでした。あ、ただポイントとしては、英語の勉強はしませんでした。だって何でセンター終わった後まで英語の勉強しなきゃならないんですか、というのは半分冗談としても、苦手な2割を無理に伸ばそうとして得意な8割が疎かになっては本末転倒なわけですよ。それに、数学の勉強は楽しいけど英語はつまら(略)


ここで困ったことは、流石に神経が張り詰めているからか、夜なかなか寝付けないということでした。で、当時はまだこの方法を知らなかったので、代わりに布団に仰向けになった状態で、「お腹の辺りにある光の塊が、息を吸うと同時に四肢に広がっていき、息を吐くと同時にお腹に集まってくる」というイメージをひたすら思い浮かべ続けていました。
多分、30分から1時間ぐらい続けていたら眠りにつけたような気がします(時計を見ていなかったのであくまで体感ですが)。

後期日程(二次試験)本番

当日について憶えていることは以下の通り。

  • 英語以外の2科目の試験前には、数日前にテレビで見た藤原組長とチャック・ウィルソンの相撲対決直前のチャック・ウィルソンの真似(目を見開いて、わざと呼吸を荒くする)をしてアドレナリンの分泌に努めていました。とにかく数学に関しては解くスピードの遅さが最大の問題だったので、脳みそのクロック数を無理やり上昇させるイメージで。
  • 試験会場では一部屋に確か100人ほど入っていて、数学選択で合格するのは大体45人ぐらい(定員が140人ぐらいで、例年数学、物理、化学選択者が殆どだったので、ほぼ3等分した数字)だからこの部屋にいる全員が揃って合格するのは無理なんだなぁ、なんてしみじみ思いながら試験開始を待っていた覚えがあります。
  • 英語。確かバラバラになった英語の論文を読んで正しい順番に並べ直す、みたいな問題が出たんですが、「段落の始まりが逆接だったら先頭には来ない」とかそんな類の推理を働かせていたら解けちゃった覚えがあります。英語力とあまり関係の無い問題で助かりました。
  • 数学。全部で3問あって、1問目はよくわからなかったので飛ばして、2時間半(だったかな)の試験時間を残り2問に費やしたのでどうにか両方解けたように思います。
  • もう一科目。確か「関節が二つあるロボットアームでボールをなるべく遠くまで飛ばすには」みたいな問題が出ました。面白かったです。問題の解釈さえ出来てしまえば、数学の問題としては選択科目の数学ほど難しくなかった(数学選択者以外も解くわけですし)ので、そこそこ解けたと思います。

という具合で、自己採点では例年の合格レベル以上の得点だったため、合格発表までは比較的落ち着いて過ごすことができました。それでも、「今年だけ異常にレベルが高かったらどうしよう」などと心配にはなりましたが。

まとめ

というわけで、私は実戦練習でどうにかするタイプだったと自分では認識しているので、受験対策のテクニック的な云々というのは多分あまりやっていなかったんじゃないでしょうか。
あ、でも一つ書き忘れていたこととして、センター試験の数学の選択問題でBASIC言語の問題があったら解けるようにしておいた方がお得だと思いますよ。難易度はさておき、解く時間はかなり短くて済みますから。(今BASIC言語の問題が出ているのかどうか知りませんが・・・)