人様の肩書きは正しく書きましょう

Yahoo!ニュース経由で知ったスポーツ報知の以下の記事を読んで。

寝坊遅刻の郷田9段にボランティアなどの処分

 日本将棋連盟は27日、第23期竜王ランキング戦1組で、自らの不注意のため不戦敗となった郷田真隆9段に対する処分を発表した。(引用時中略)郷田9段は21日に予定されていた森内俊之9段との対局を(引用時後略)

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20100127-OHT1T00175.htm

記事の内容そのものについての感想は、不慮の事故などではない遅刻による不戦敗について連盟として処分を下すということで棋士じゃなくて本当によかった将棋ファンやスポンサーを大切にする連盟の姿勢が垣間見えるかとも思いますが、今回言いたいのはそういうことではなくて、記事における「郷田真隆9段」「森内俊之9段」という表記について。


ご存知の方も多いと思いますが、将棋や囲碁における棋士の段位では、通常「9段」などの算用数字表記でなく「九段」などの漢数字表記が用いられます。
実際、日本将棋連盟の棋士紹介ページを見ても、段位は「九段」「八段」など漢数字で書かれています。これは別に棋士紹介ページの中の人が漢数字マニアというわけではなく(まぁ、実際に漢数字マニアである可能性もゼロではありませんが)、棋士番号は普通に算用数字で書かれていたり、左端のメニューでは通常「五十音順」と表記するところを「50音順」と書いてあったりします。にもかかわらず段位と加藤九段のお名前については一貫して漢数字表記であることから、少なくとも日本将棋連盟棋士の段位としては漢数字表記が正式であると理解してよいでしょう。(ちなみに引退された中原誠十六世名人(あ、これも漢数字ですね)は永世十段でもあられます。「永世10段」ではなく。)


今回の記事が載っているスポーツ報知は、竜王戦のメインスポンサーである読売新聞の系列です。他にも名人戦朝日新聞毎日新聞をはじめ、(囲碁のことはよく知りませんが)将棋のタイトル戦のスポンサーには各種報道関係の企業が多く名を連ねています。ということは少なくとも世間一般の平均よりは棋界に対する理解もしくは関心があるであろうと期待されますが、にもかかわらず、今回の記事に限らず棋士の段位を算用数字で記載する記事が後を絶ちません。
恐らく報道関係(少なくとも新聞関係)全体で、算用数字と漢数字の使い分けに関する何らかの申し合わせをしているのでしょうが、わざわざ人様の肩書きを正しく記載しないような申し合わせをするというのは一体どういう神経なのか理解に苦しみます。これは対象が棋士だからという話ではなく、他の事例があるとしたらそれらも含めて、一刻も早くこのような不適切な慣習を改めていただきたいと願います。