「美しい数式」の話

美しい数式 - 元RX-7乗りの適当な日々で紹介されていた「美しい数式」に関する動画について。

特に↓のは、もう神様のいたずらとしか思えない。美しい。

1/9801

= 0.00 01 02 03 04 05 06 07 08 09
    10 11 12 13 14 15 16 17 18 19
    20 21 22 23 24 25 26 27 28 29
    30 31 32 33 34 35 36 37 38 39
    40 41 42 43 44 45 46 47 48 49
    50 51 52 53 54 55 56 57 58 59
    60 61 62 63 64 65 66 67 68 69
    70 71 72 73 74 75 76 77 78 79
    80 81 82 83 84 85 86 87 88 89
    90 91 92 93 94 95 96 97 98 99
美しい数式 - 元RX-7乗りの適当な日々

動画内でも指摘されていますが、循環部は正しくは

  00 01 02 03 04 05 06 07 08 09
  10 11 12 13 14 15 16 17 18 19
  20 21 22 23 24 25 26 27 28 29
  30 31 32 33 34 35 36 37 38 39
  40 41 42 43 44 45 46 47 48 49
  50 51 52 53 54 55 56 57 58 59
  60 61 62 63 64 65 66 67 68 69
  70 71 72 73 74 75 76 77 78 79
  80 81 82 83 84 85 86 87 88 89
  90 91 92 93 94 95 96 97 99

で、最後「98」が飛ばされているのが実はこの話のミソです。


前者のように98を含む形だとすると、この数は「100進数で小数点以下、100進数の0、100進数の1、・・・、100進数の98、100進数の99、ときて以下循環する数」となるので、一般化してN進数で考えることにして、この数をa、循環部をbとおきます。すると

b = \sum_{i=0}^{N-1}N^{-i-1}\,i = \frac{1-N^{-(N-1)}}{(N-1)^2} - N^{-N}

となり、最後に-N^{-N}なんていう余分な項がついていてフラストレーションが溜まってきます。また、循環部はN進数でN桁あるので

a = b \times \sum_{j=0}^{\infty}(N^{-N})^j = \frac{b}{1 - N^{-N}}

となり、bの第1項の分子が惜しくもキャンセルされなくてまたイライラするわけです。
ちなみにN=100の場合にこの数を計算してみると、

a = 10306101521283645556678920621375472921233557903285482
    10397001336701367310488828701256004592398837883992460
    05612702888491073370167340170401082552903795634129273
    553822069279675646372922161107040201
  /
    10101010101010101010101010101010101010101010101010101
    01010101010101010101010101010101010101010101010101010
    10101010101010101010101010101010101010101010101010101
    0101010101010101010101010101010101010101

となり、全然綺麗な形になってくれません(まあ、分母は綺麗ですけど、分子は如何ともし難いものがあります)。


一方、後者のように「N進数で小数点以下、N進数の0、N進数の1、・・・、N進数のN-3、N進数のN-1、ときて以下循環する数」をA、循環部をBとすると、BはbからN-1桁目の「N進数のN-2」とN桁目の「N進数のN-1」を取り去って代わりにN-1桁目に「N進数のN-1」を加えた数なので、

B = b - N^{-(N-1)}(N-2) - N^{-N}(N-1) + N^{-(N-1)}(N-1)
 = b + N^{-N} = \frac{1-N^{-(N-1)}}{(N-1)^2}

となり、bにあった邪魔な項「-N^{-N}」が消えてくれます。また、今度は循環部がN進数でN-1桁なので、

A = \frac{B}{1 - N^{-(N-1)}} = \frac{1}{(N-1)^2}

と、上手いことBの分子がキャンセルされてくれて、結果としてN-1の2乗分の1、という誠に綺麗な数が出てくるわけです。


9801=99^2、というのはPC-9801世代にとって印象深い関係式ですが、それがこんな面白い現象の素となっていたとは知りませんでした。面白いですなあ。