「全ては5」の話

えー、折角下の話でid:T-3donさんを呼び寄せてみたので、遅ればせながら全ては5にして、5である。 - みつどん曇天日記についての与太話でも提供してみます。


id:T-3donさんが件の記事で提唱している「全ては5」という命題については、その筋の方には有名な命題「0=1」に帰着させる方法も考えられますが、折角なので他の「証明」を二つほど考えてみました。

その1

全ての正整数が5に等しいことを示せば残りの場合はどうにでもなるため、全ての正整数が5に等しいことを示します。
命題が成り立たないと仮定し、5に等しくない最大の正整数をNとおきます。
今、N+9はNより大きい正整数ですので、Nの選び方より N+9=5 ・・・(式1)
一方、Nは正整数ですので3N-1は常にNより大きく、やはりNの選び方より 3N-1=5 ・・・(式2)
(式1)と(式2)の右辺は互いに等しいので左辺も互いに等しく、 N+9=3N-1
移項して整理すると2N=10、従って N=5 を得ますが、これはNの選び方に矛盾します。
よって背理法により、全ての正整数が5に等しいことが示されました。(終)

その2

もう少しテクニカルな論法として、以下の無限級数を考えます:


(式1)
4 + (4/5 - 4/5 + 4/5 - 4/5 + 4/5)
+ (4/25 - 4/25 + 4/25 - 4/25 + 4/25 - 4/25 + 4/25 - 4/25 + 4/25 - 4/25 + 4/25 - 4/25 + 4/25 - 4/25 + 4/25 - 4/25 + 4/25 - 4/25 + 4/25 - 4/25 + 4/25 - 4/25 + 4/25 - 4/25 + 4/25)
+ (4/125 - 4/125 + ・・・ - 4/125 + 4/125) + ・・・
簡単のために5進数で表示しますと、k番目の括弧の中身は全部で5のk乗個(←これは10進数表示)の「0.000・・・004」(小数点以下第k位に4)を引いて足して引いて足して・・・引いて足す、という形になっています。つまり、k番目の括弧の中身だけ先に計算すると「0.000・・・004」(5進数表示)になり、結局(式1)の値は「4.4444444・・・」(5進数表示)という無限小数になります。
10進数で9.99999・・・=10という事実と同様に、この値は5進数での10、つまり10進数だと5になります。


一方、(式1)の値が別の任意の実数、例えば7に等しいことを示すため、(式1)の足し算引き算の順序を以下のように並べ替えます(以下、10進数表示に統一)。
まず、(式1)のプラスの項である4、4/5、4/5、4/5、4/25、4/25、・・・を頭から順に7以上になるまで足していきます。具体的には、4個目の4/25まで足した時点で答えが7.04となるのでここで一旦ストップします。
次に、上の結果から、(式1)のマイナスの項(4/5、4/5、4/25、4/25、・・・)を順に引いていって、答えが7以下になったらストップします。この例では最初の4/5を引いた時点で答えが6.24となるのでここで一旦ストップします。
以下、プラスの項の残りを順に足していって7以上になったらストップ、マイナスの項の残りを順に引いていって7以下になったらストップ、・・・という操作を無限に繰り返していくと、(式1)の全ての項が丁度1回ずつ計算に現れるので、実際に(式1)の足し算引き算の順序を並び替えていることになります。
また、足されたり引かれたりする数は次第に0に近づいていくため、各ステップでの計算結果の誤差(7よりどれだけ大きく/小さくなったか)も次第に0に近づいていきます。難しい言い方をすると、この結果得られる無限級数は7に収束します。


最初の計算と二番目の計算では計算の順序を入れ替えただけですから、(式1)の値は5であり、また7でもあることがわかりました。
この議論で7の代わりに任意の実数を用いれば、任意の実数は5に等しいことが従います。(終)

終わりに

・・・えー、やっぱり本職の数学者という立場上慎重になった方がよいかと思いますので念のため述べておきますと、上の「証明」は単なるネタですので真に受けないで下さいね

終わりに(その2)

エクストリーム・恥的知的スポーツの一種目として、いかに華麗かつ独創的な手法でこの種の命題を「証明」するかを競う「エクストリーム・0=1」というのはどうでしょう。
既存研究(?)については調査していないのでどこかで既出かもしれませんが。